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インクジェットプリンターライブラリー
製造現場における賞味期限やロット番号の印字は、製品の品質保証とトレーサビリティを確保する上で欠かせない重要な工程です。しかし、「印字機」には連続式インクジェットプリンタ(CIJ)やレーザーマーカー、サーマルプリンタなど多様な方式が存在し、それぞれ対応できる素材やライン速度、導入コストが大きく異なります。「自社の生産ラインに最適な機種がわからない」「ダウンタイムを削減したい」といった課題を抱える設備担当者の方も多いのではないでしょうか。
本記事では、印字機の主要な種類とその特徴を体系的に解説します。そして現場の運用負担を減らすための選定ポイントについても網羅的にまとめました。
失敗しない印字機選びの鍵は、単に機器の価格で選ぶのではなく、「印字対象(紙・フィルム・金属・樹脂など)との相性」と「長期的な運用コスト」のバランスを正しく見極めることにあります。
製造業における「印字機」とは、製品やその包装に対して、賞味期限、製造年月日、ロット番号、バーコード、QRコードなどの可変情報を効率的に印字するための装置を指します。食品、飲料、医薬品、自動車部品、電子機器など、あらゆる製造ラインの最終工程において、印字機はトレーサビリティの要として稼働しています。
かつてはスタンプやラベル貼りによる手作業が主流でしたが、近年の生産ラインの高速化や、法規制による表示義務の厳格化に伴い、非接触で対象物を傷つけず、あらゆる素材に対して瞬時に印字できる産業用インクジェットプリンタなどの自動印字機の導入が求められています。
単に文字や数字を印字するだけでなく、製造現場における印字には、製品の「身分証明書」のようなものを発行するという極めて重要な役割があります。適切な印字が行われていない製品は、市場に流通させることができないケースがあります。
主な役割として、以下の3点が挙げられます。
消費者庁が管轄する食品表示法などの法改正にも柔軟に対応するため、印字内容を即座に変更できるデジタルな印字機の需要は年々高まっています。
製造業が直面している「人手不足」と「品質要求の高度化」という課題に対し、最新の印字機を選定・導入することは一つの解決策となります。
古い印字方式や手作業に依存している場合、印字ミスによる見えない作業コストや廃棄ロス、さらには段取り替えにかかるタイムロスが発生します。一方で、最新の印字機はIoT対応が進んでおり、遠隔設定や印字内容の自動切り替えが可能です。
特にインクジェット方式のような汎用性の高い印字機であれば、凹凸のある形状や多様な素材(紙、プラスチック、金属、ガラス)へ柔軟に対応できるため、生産品目や容器が変わっても同じ設備で対応し続けられるという大きなメリットがあります。これにより、設備投資の最適化と生産ラインの停止時間(ダウンタイム)の最小化が実現します。
印字機が対象とする業界は多岐にわたりますが、それぞれの現場で求められる印字品質や情報は異なります。以下に、主要な業界ごとの印字目的を整理しました。
| 業界 | 主な印字対象物(素材) | 印字内容と目的 |
|---|---|---|
| 食品・飲料 | フィルム包装、紙箱、ペットボトル、缶 | 賞味期限、消費期限、製造所固有記号。 高速ラインでも印字可能で流通時に取れないことが重視されます。 |
| 化粧品・医薬品 | ガラス瓶、チューブ、PTPシート、化粧箱 | 使用期限、製造番号、GS1コード。 デザイン性を損なわない微細な印字や、偽造防止のための特殊インクなどが求められる事があります。 |
| 電気・電子部品 | コネクタ、基板(PCB)、ケーブル、樹脂成形品 | 極小文字、2次元コード(DataMatrixなど)。 洗浄工程などの後処理に耐えうる高い耐久性と、微細なスペースへの精密印字が必要です。 |
| 自動車部品 | アルミダイカスト、金属部品、ゴムホース | 品番、ロット番号、2次元コード。 油分が付着した金属や、黒色ゴムなどの視認性が低い素材色への恒久的なマーキングが求められます。 |
製造現場において、製品への賞味期限やロット番号の印字は、品質保証とトレーサビリティの観点から極めて重要です。印字機にはさまざまな方式が存在し、印字対象物の素材や生産ラインの速度によって最適な機種が異なります。ここでは、製造業で主に使用される代表的な印字機の種類と、それぞれの特徴について詳しく解説します。
産業用インクジェットプリンタ(IJP)は、インクの粒子を飛ばして対象物に付着させることで文字やコードを印字する方式です。最大の特徴は、対象物に触れずに印字ができる「非接触方式」である点です。これにより、平面だけでなく、缶の底やボトルの曲面、凹凸のある表面など、形状を問わず柔軟に印字が可能です。また、版(はん)が不要なため、時刻やナンバリングといった可変情報の印字に最適であり、多くの製造現場で採用されています。
連続式インクジェットプリンタは、CIJ(Continuous Ink Jet printerの略)ともいい、インク粒を連続的に生成・噴射し、印字に使用しないインクを回収して再利用する仕組みを持ちます。速乾性のインクを使用するため、高速で流れる生産ラインでも文字が滲むことなく、鮮明な印字が可能です。食品、飲料、化粧品など、スピードが求められる量産ラインで普及しているタイプです。
必要な時だけインク粒を吐出する方式です。タイプはサーマル方式、ピエゾ方式、バルブ方式があります。最近のモデルは高解像度での印字が可能で、高精細なバーコード印字に利用されます。主に段ボールや建材などへの大文字印字に使用されますが、インクの多様化から様々な業界・素材に使用されるようになってきています。
レーザーマーカーは、レーザー光を対象物に照射し、表面を削る、焼く、あるいは変色させることで印字を行う装置です。一度印字すれば消えることのない「消えない印字」を実現します。ただし、素材との相性が重要であり、対象物に合わせてレーザーの波長を選ぶ必要があります。
UV波長のレーザーを使用して、フィルムやその他の素材を発色させる印字方法です。コールドマーキングとも呼ばれます。
炭酸ガスレーザーを使用するタイプで、紙、木材、ガラス、PETボトル、ゴムなどの樹脂への印字に適しています。熱エネルギーを利用して表面を加工するため、視認性の高い印字が可能です。
金属などへの印字に特化したタイプです。高出力で微細な加工が可能なため、自動車部品や電子部品への極小文字やQRコードの刻印によく用いられます。
サーマルプリンタ(熱転写プリンタ)は、熱したサーマルヘッドでインクリボンを溶かし、包装フィルムなどに転写する方式です。高解像度で印字ができるため、読み取り精度が求められるQRコードや成分表示などの一括表示に最適です。スナック菓子や冷凍食品などの軟包装ラインで多く導入されています。
熱した金属活字(版)でインクテープをフィルムに押し付けて印字する、いわゆる「箔押し」のような方式です。構造がシンプルで導入コストが安価である点がメリットです。一方で、活字の交換作業が必要なため、日付変更などの段取り替えに手間がかかる側面があります。
以下の表は、これまで解説した主要な印字機の特徴を整理したものです。
| 印字方式 | 主な特長 | 適した用途・素材 |
|---|---|---|
| インクジェットプリンタ | 非接触で高速印字、形状を選ばない | 缶、ビン、ペットボトル、ケーブル、電子部品など |
| レーザーマーカー | 消えない印字 | 金属部品、樹脂、ガラス、化粧箱など |
| サーマルプリンタ | 高精細 | 食品包装フィルム、ラベルシール |
| ホットプリンタ | 導入コストが比較的安い、接触式 | 小ロットの包装フィルム、化粧箱 |
産業用印字機の導入は、生産ラインの効率や製品の信頼性に直結する重要な投資です。ここでは、製造現場の担当者が押さえておくべき5つの重要な選定基準を解説します。
最初に考慮すべきは、何に印字するかという「素材(ワーク)」との相性です。紙や段ボールであれば比較的どの方式でも対応可能ですが、プラスチック、金属、ガラス、フィルムなどの非浸透性素材の場合、インクや方式の選定が難しくなります。
特に、食品パッケージやペットボトルのような曲面や凹凸のある形状、または柔らかい素材に対しては、非接触で印字できるインクジェットプリンタが有利です。対象物に触れずにインクを飛ばして印字するため、製品を傷つけることなく、底面やキャップの縁といった狭い場所へも柔軟に対応できます。
生産ラインの搬送速度に印字機の処理能力が追いつかなければ、生産性のボトルネックとなります。1分間に数百個流れるような高速ラインでは、追従性の高い連続式インクジェットプリンタ(CIJ)などが推奨されます。
また、設置環境も重要です。粉塵が舞う工場や、水濡れが発生する食品工場では、高い防塵・防水性能(IP保護等級)を持つ筐体が必要です。過酷な製造現場でも安定稼働し、高速ラインのスピードを落とさない印字機を選ぶことが、生産効率の最大化につながります。
印字内容が固定か変動かによっても適した機種は異なります。単なるロゴマークであれば スタンプ方式でも可能ですが、製造日時分、賞味期限、シリアルナンバー、ロット番号のように、製品ごとに内容が変わる場合はデジタル制御可能な印字機が必須です。
近年ではトレーサビリティ確保のために、GS1 QRコードやDataMatrixなどの2次元コードを印字するニーズが急増しています。微細な文字や複雑なコードを、鮮明に高速印字できる能力が求められており、この点でも制御性に優れた最新のインクジェット方式が高いパフォーマンスを発揮します。
コストは「本体価格(イニシャルコスト)」と「消耗品・交換パーツ・保守費(ランニングコスト)」のトータルバランスで考える必要があります。方式ごとの一般的な必要パーツは以下の通りです。
| 印字方式 | イニシャルコスト | 消耗品・定期交換パーツ例 |
|---|---|---|
| インクジェットプリンタ | 低~中 | インク、機種によっては溶剤・フィルター |
| レーザーマーカー | 高 | 発振器、光学部品 |
| サーマルプリンタ | 低~中 | インクリボン、サーマルヘッド |
導入前にどのような消耗品・定期交換パーツがあるか確認する事をおすすめします。
長く安定して使い続けるためには、日々のメンテナンスの手間も無視できません。最新の印字機には、自動洗浄機能やノズルの目詰まり防止機能が搭載されており、オペレーターの負担を大幅に軽減するモデルが増えています。
また、万が一のトラブル時に、代替機の即日手配やオンサイト修理に対応してくれるメーカーかどうかも確認しましょう。メンテナンスが容易でダウンタイムを最小限に抑えられる機種選定が、結果として現場の利益を守ります。
製造現場において印字機を選定する際は、スペック表の数値だけでなく、実際の運用シーンにおける解決事例を知ることが重要です。特に、非接触で印字が可能であり、多様な素材に対応できる産業用インクジェットプリンタは、多くの業界で生産性向上と品質管理の要として導入されています。ここでは、食品、飲料、化粧品の各業界における具体的な課題解決事例を紹介します。
食品製造の現場では、賞味期限や消費期限の正確な印字が食品表示法により厳格に求められます。また、多品種少量生産が進む中、包装形態もフィルム、紙箱、カップなど多岐にわたります。
ある菓子メーカーでは、従来ホットプリンタを使用していましたが、フィルム包装のたわみによる印字かすれや、活字交換による段取り替えのタイムロスが課題となっていました。そこで、対象物に触れずに印字ができる連続式インクジェットプリンタ(CIJ)を導入しました。その結果、包装表面に凹凸があっても鮮明な印字が可能になり、印字不良による廃棄ロスを大幅に削減することに成功しました。また、日付や時刻の自動更新機能により、印字内容の変更ミスもゼロになりました。
| 改善前の課題 | 導入機種 | 導入後の効果 |
|---|---|---|
| 軟包装の凹凸による印字かすれ | 連続式インクジェットプリンタ | 非接触印字により、曲面や凹凸面でも鮮明さを維持 |
| 活字交換の手間とヒューマンエラー | 連続式インクジェットプリンタ | タッチパネル操作で瞬時に内容切替、入力ミス防止 |
化粧品業界では、容器のデザイン性(意匠性)を損なわない印字品質が求められると同時に、模造品対策やトレーサビリティの観点から、製品ごとのロット番号やQRコードの管理が重要視されています。
高級化粧品ブランドの製造ラインでは、ガラス瓶の底面やチューブの狭いスペースへの微細な印字が必要でした。従来の方式では文字が潰れてしまうことがありましたが、高解像度のインクジェットプリンタを導入することで課題を解決しました。ノズルの制御技術により、極小の文字や複雑な2次元コードも高精細に印字でき、個体管理の精度が飛躍的に向上しました。また、インクジェット方式であれば、容器の形状が変わってもプリントヘッドの位置調整だけで対応できるため、季節限定商品などの切り替えもスムーズに行えます。
| 改善前の課題 | 導入機種 | 導入後の効果 |
|---|---|---|
| 微細エリアへの印字潰れ | 高精細インクジェットプリンタ | 小さな文字やQRコードも読み取り可能な精度で印字 |
| 多品種切り替えの工数増大 | 汎用性の高いインクジェットプリンタ | 設定変更が容易で、多様な容器形状に柔軟に対応 |
本記事では、製造現場における印字機の役割から主要な種類、失敗しない選定ポイントまでを詳しく解説してきました。印字機は単に日付やロット番号を印字するだけの装置ではなく、製品のトレーサビリティを確保し、ブランドの信頼性を守るための重要な設備です。
最適な印字機を選定するための結論として、以下の点を改めて整理します。
まず、印字方式の選定においては「素材」と「用途」のマッチングが最優先です。段ボールや缶、ペットボトルなど多様な形状・素材に対応し、高速ラインでの印字が必要な場合は「連続式インクジェットプリンタ(CIJ)」が第一候補となります。一方で、消えない恒久的な印字を求めるのであれば「レーザーマーカー」が適しています。また、包装フィルムへの高精細な内容表記には「サーマルプリンタ」が、コストを抑えた簡易的な日付印字には「ホットプリンタ」が依然として有効な選択肢です。
次に、導入後の運用を見据えた「トータルコスト」と「メンテナンス性」のバランスを考慮することが不可欠です。導入コスト(イニシャルコスト)が安価であっても、消耗品や定期交換部品費用(ランニングコスト)や、ダウンタイムがかさめば、長期的な負担は大きくなります。
最終的な意思決定においては、カタログスペックだけで判断せず、実際に自社の製品サンプルを用いてテスト印字を行うことを強くおすすめします。現場の環境(粉塵、温度、湿度)やライン速度に適応できるか、印字品質は安定しているか、そして万が一のトラブル時に迅速なサポートが受けられるかを確認することが、最後の鍵となります。
アルマークでは、本記事に記載の印字機をご提案いたします。ご要望をお知らせください。

リンクス8900
小文字・個包装用のIoTモデル。遠隔による安心サポートで製造業の課題解決に貢献。CIJ方式

リンクス8940スペクトラム
顔料白インク・グレーインク専用プリンター。IoTモデル。CIJ方式

リアジェットHR2.0
小文字・個包装・化粧箱用。解像度最大600×1500dpiで高精細な印字が可能。DODサーマル方式

BOTMARK
ピエゾ方式でありながらアルコール系速乾インクが使用可能な高解像度インクジェット。DODピエゾ方式

アップリンクMRX72e
段ボール・木材用。180dpiの超高解像度500ドット仕様。標準インクの他、UV硬化インクあり。DODピエゾ方式

アップリンクMRX72e UVモデル
包装用シュリンクフィルムやコート処理された紙等に高解像度の印字が可能。UV(紫外線)硬化インクを使用します。DODピエゾ方式

マシューズVIAjet Vシリーズ
クラフト袋、段ボール、スチロール箱用。印字ワークとの飛距離がとれ綺麗な印字が可能。DODバルブ方式

レーザマーカー
「ZL3000シリーズ」
UVレーザ、CO2レーザ、Fiberレーザをラインナップしております。
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